多くの日本企業が陥っているのが、理想と現実が乖離する「DXのパラドックス」です。ここで私が最も警鐘を鳴らしたいのは、欧米企業との根本的なアプローチの違いです。
欧米の高成長企業は、まず「モデル(戦略と戦術)」を設計し、次に「プロセス(定義)」を固め、最後に「ツール(テクノロジー)」を導入します。対して、日本企業の多くは「施策」が先行し、都度問題解決をパッチ当て的に実施する施策が積み上がっています。この逆転現象こそが、投資対効果を著しく低下させている原因です。
この構造的問題は、以下の3つの症状として現れます。
組織を内側から腐食させる最大の敵、それが「サイロ化」です。マーケティング、営業、カスタマーサクセスが独立した孤島と化し、共通のリズムを失っている状態です。
このサイロ化は、単なるコミュニケーション不足に留まりません。
RevOpsとは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスまで、レベニュー組織全体の協業プロセスを強化し、戦略的な生産性向上を支援するための「方法論」であり「役割」です。私はこれを、組織に一貫したリズムをもたらす4つの柱で定義しています。
RevOpsは、チーフレベニューオフィサー(CRO)の真のパートナーとして、データの「解釈」に左右されない、透明性の高い情報基盤を構築します。
RevOpsを実装することは、組織に以下の価値をもたらします。
前編では、RevOpsがなぜ必要なのか、その戦略的概念を解説しました。後編では、具体的に「どう組織に落とし込むか」に焦点を当てます。組織設計、KPI、そしてこれからのAI時代を見据えたキャリアとテクノロジーのあり方を紐解いていきましょう。
サイカワコーポレーション合同会社 代表社員
株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインサイドセールス部およびゼネラルビジネス営業部を統括。営業組織改革、プロセス設計、マーケティングオートメーションを軸としたデジタルシフトを推進し、スタートアップから大手企業までテクノロジーを活用した収益組織の構築を支援。
株式会社みずほ銀行、株式会社リクルートおよび外資系IT企業にて10年以上にわたり法人営業に従事。外資系企業では営業・インサイドセールス・マーケティングを横断統括し、部門連携によるレベニュー最大化を推進。国内外でトップセールス・最優秀社員として多数の表彰を受ける。
2022年エンハンプ株式会社を創業し代表取締役、ゼロワングロース株式会社取締役CROに就任。RevOps構築およびGTM戦略設計を通じて企業の持続的なレベニュー成長を支援。営業モデル設計にとどまらず、パイプラインマネジメント、フォーキャスト高度化、部門横断データ統合を含むレベニューオペレーション全体の設計・変革を専門とする。日本におけるRevOps実践の第一人者として、レベニュー予測可能な組織モデルの普及に取り組む。
2026年2月、Xactly株式会社 日本GTM統括責任者(Head of GTM, Japan)に就任。2026年3月サイカワコーポレーション合同会社設立。
著書に『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)。